びーの独り言

どこいくの?どっか。

2020/10/17(土)「丹波篠山」

 旅行第三弾は丹波篠山に行くことにした。尼崎にいるうちに近くて行きづらいところに行きたかった。丹波篠山と言えば、城下町くらいしか浮かばず、あまり魅力的には思えなかったが、廃線跡巡りに気づいてからは一気にテンションが上がった。
 先週の反省を元にホテルに泊まることにした。予約サイトを見ると、GOTOトラベルが反映されて割り引かれていた。往復の電車賃とたいして変わらなかった。
 昨晩、奥歯の被せものが取れた(泣)。歯医者に行ける時間は今日しかなかった。旅行はいつでも行けるが、歯は速攻治さなければいけない。
 今朝は7時半に起床。無慈悲にも雨が降っていた。歯医者だし、雨だし、こんな時に限って宿予約してたりして。旅行の荷物を抱えて、傘を差して、9時に歯医者。「感染対策のため完全予約制になっています。1040に来て下さい」。一旦、家に戻ってから出直した。
 1040、再び歯医者。被せが外れたのは左下の奥から2番目で、1年半前にも同じ箇所を治療していた。抜かれるかどうかドキドキだったが、接着剤でつけて終わり、ホッとした。
 11時、出発。JR尼崎駅から1128の区間快速。生瀬から先はトンネルの連続。トンネルの切れ目からは険しい谷の下に武庫川が見えた。川沿いに廃線跡を探したが、よくわからなかった。三田から先は田舎。この辺りから旅行感が出てきた。狭い山あいに田んぼが広がり、広葉樹や家屋の形がいかにも兵庫だった。雨が降ってるので、山から水蒸気が上がっていた。もしかしたら、雨は雨でよかったかもしれない。雨と城下町、なんだか良さそうではないか?
 篠山口駅に着いたのは約1時間後の1230だった。こんなに近いのに、今まで行かなかったのが不思議。観光案内所で地図を入手し、バス停を探すとちょうどバスが来ていた。バスは4、5人乗っていた。こんな雨の日に観光なんかしないよな。城跡までは4キロあった。バスはなかなか着かなかった。バスが城の近くの二階町に近づくと、道はギリギリ二車線になり、両側には土産物屋が軒を連ねていた。そして、傘を差した人たちが道路に溢れ返っていた。なんでこんなに混んでるんだ?えらいとこに来てしまったと思った。
 バスを降りて見ると、すごい人だかり。観光バスのガイドが旗を持って客を先導、みんなが傘を差している。猪肉料理の店にはどの店にも行列ができて、栗を焼く店には覗きこむ人が多数。風情も何もあったもんじゃない。さながら戦場のようであった。
 そして戦い敗れてこんな時でもなぜか空いてる場末の食堂へ。篠山まるごと丼。丼に猪肉とトロロとゼンマイ。猪肉はビーフジャーキーみたいな硬さで味がしなかった。コレジャナイ。シチュエーションだけで既に負けていた。
 14時、やっと観光スタート。まずは観光案内所。おばさんに、ダメ元で篠山駅跡について聞いたら、現在の廃線の様子を詳しく教えてくれた。こんなマイナーなものまでフォローしてるとは。凄いおばさんだった。
 篠山城の入り口の写真を撮ろうとしたら、駐車場の前でバスを誘導しているおじいさんに話しかけられた。篠山のいろいろ面白い話を聞かせてもらった。今日は春日神社の大祭だったが、新型コロナで中止になったとか、猪は今は冷凍だから11月からうまいとか。こういう地元の生きた話が聞けるのが、何より旅の醍醐味だ。
 篠山城は、平城で立派な外堀と内堀があった。天守はなく、復元された大書院があった。大書院では、篠山の歴史を紹介していたが、あまり歴史的に目を引くものはなかった。譜代が守ってたから重要な拠点だったとはいくらなんでも言い過ぎ。誰もそんなこと思ってないと思う。
 青山歴史村に入った。別に入るつもりはなかったが、共通券に入ってたので。ここには、版木館、デカンショ館、桂園舎の3棟があった。この中でデカンショ館がメインで、その名の通りデカンショ節について解説していた。デカンショ節、言われてみると聞いたことがあるような?篠山が発祥なのか。水木しげるが高校の頃、篠山に住んでたことがあり、篠山鉄道から国鉄で大阪に通っていたという話が印象に残った。
 篠山城の城下町は国重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。まずは城の西側を南北に走る武家屋敷通りに行った。雨はようやく止んだが、誰もいなかった。あれだけいた人たちはどこへ行ったのだろう?道は広くて、変わったところとして排水溝と家の門の間には隙間があった。江戸っぽい?家はどれも茅葺き、おそらく家の造りは同じなのだろう。雰囲気が良い道だった。旅行に来た感じがしてきた。佐藤家というところが入れるようなので中に入ってみた。なんとそこの家のおじいさんが説明してくれた。自分の家を解説してる人は初めてだった。もう少し進むと、安間家があった。こちらは公式の施設。整備されてたけど、ふーんって感じ。見せ方では、佐倉の圧勝。
 城の南側を東西に伸びる通りを歩いた。誰もいなかった。堀の横の小さな小路。歩いていると気持ちよかった。ようやく運が向いてきた感じがした。
 そのまままっすぐ歩いていくと商家が集まってる通りに出た。これはかなり凄かった。普通、ちらほらと現代の建物が混ざっているのだが、あんまり歯抜けがなかった。これはいい場所を見つけた。
 17時、二階町に戻った。あれだけいた人はまったくいなくなり、店も閉まっていた。昼間の騒ぎが夢みたいだった。せっかくなので夕食はぼたん鍋にした。冷凍肉でも仕方ない。今度いつ来るかわからないのだから。事前調べで名前が出てきていたぼたん亭。特上カルビぼたん鍋は5300円。宿泊費よりも高かった。その代わりにうまかった。猪肉の臭みは、味噌スープに何か混ぜて消していた。〆のうどんの後、山椒だということに気づいた。独りで食べてたらすごく贅沢な気分に浸れた。入ってよかった。
 1835、二階町からバスで篠山口駅に戻った。徒歩5分でホロンピアホテル。古い感じ。チェックインしたら、GOTOトラベルの地域共通クーポン1000円をもらった。宿泊金額が小さいからもらえないと思っていたから驚いた。GOTO凄いな。部屋はきれいで広かった。空気清浄機と電子レンジがあるのは初めて見た。テレビが大きくて、一人がけのソファーとテーブルがあった。うちと同じモリタの冷蔵庫には笑った。ベッドにはシーガイア以来の枕が2つ。かなりいい部屋だと思った。しかし、隣の電話の内容が丸聞こえにはまいった。「元警察だけどお前の奥さんのメンタルのことはわからんわ」。大井町アワーズイン阪急以来の衝撃だった。
 丹波篠山は、まるで郡上八幡のようだった。鉄道は町のハズレに駅があり、お城、町並み、盆踊り。丹波篠山市長によれば、鉄道が町外れにできたから市街地が開発されなかったとのこと。関係ないだろ?武家屋敷は佐倉や角館、商家は内子や佐原。萩も近いかもしれない。昔の雰囲気をよく伝えるいい町だった。観光バスはうざかったが。二日目に続く。