びーの独り言

どこいくの?どっか。

ひとり終活 不安が消える万全の備え

ひとり終活 不安が消える万全の備え(小学館新書)

ひとり終活 不安が消える万全の備え(小学館新書)

 おひとりさまの私を悩ませる最大の問題は死ぬときに誰の世話になるかだった。普通は家族親戚の世話になるのだが、いろいろあって世話にならないことに決めた。骨髄移植を受けた今、もういつ何があってもおかしくない。今のままでは、万が一の時に周りに迷惑をかけたり、自分の望まない結果になるかもしれない。しかし、いつどうやって死ぬのかがわからない。1年後?10年後?30年後?突然ぽっくり逝くの?だんだん弱って死ぬの?結局のところ、ピンピンコロリの時はおそらく会社から家族に連絡がいくのだろうし、余命宣告されたらその時に動くんだろうな。今できることは、エンディングノートを記入して、部屋の目立つところに置いておくことだ。
 著者は死生学の専門家で、旦那さんを早くして亡くし「没イチ」の会を主宰している。この本は題名通り、おひとりさまが死ぬために準備した方がいいことを説明している。全体を網羅的に説明していて、料金の目安も書かれていて、わかりやすくていい本だと思う。以下内容について私が重要だと思ったところをメモっておく。
 死ぬときに誰の世話になるか?自分の意思表示をするにも、入院するにも、家を借りるにも常にこの問題はつきまとう。選択肢はいくつかある。まず友人。信頼がおけてベストであるが、引き受けてくれるかどうか?次に弁護士、司法書士行政書士などの士業の人たち。もちろん金がかかる(例えば契約金20万円、後見(後述)が始まってから月5万円)。最後にNPOや市民団体。内容はわからないが、金はかかるだろう。いずれのケースも預託金を預けるので、信用のおける人や団体を選ばなければいけない。この他にも各都道府県の社会福祉会に問い合わせれば後見人を紹介してくれるらしい。
 この本でのおすすめは、本人の判断能力が低下していない場合には任意代理契約を結び、本人の判断能力が低下した場合は任意後見人制度を利用することである。任意代理契約とは、代理人に入院の手続きや各種支払い、介護の手配などをしてもらうことである。また任意後見制度とは、判断能力のある間に、後見人選定や介護や財産管理などに関する希望を公正証書で契約することである。そうすることで自分で判断できなくなったときに代わりに後見人に判断してもらえるようになる。代理人と任意後見人は同じ人を選んでおけばいい。任意後見人は公証役場公正証書で財産管理などの方法とともに定める。任意後見人や周囲の人が本人の判断能力が低下したと認めた場合は、任意後見人が本人の住所地にある家庭裁判所に任意後見監督人を選定するように申し立てる。家庭裁判所は本人と面接し同意の確認を取り、弁護士、司法書士社会福祉士などの専門家を任意後見監督人として選任する。任意後見監督人は任意後見人がきちんと財産管理や契約を行っているかチェックする。任意後見監督人への報酬は家庭裁判所が決定し、月3万円以下である。
 死んでしまったあとのことは、死後事務契約を結んでおけばよい。死後委任契約でできることは、死亡届の提出、保険や年金などの資格抹消手続き、病院などの退院手続き、葬儀の代行手続き、納骨・散骨の代行手続き、住居の引き渡し手続き、遺品整理、公共サービスの解約手続き、住民税・固定資産税の納税手続き、アカウントの削除手続きなどがある。士業の人に頼むと1件数万円レベルで費用が発生する。注意点は死後事務を受任する人が法定相続人でない場合、故人の口座からお金が引き出せないことである。したがって、先に費用を渡しておく必要がある。
 (住まい、遺言、葬儀などの話もあるが、詳細は割愛する)