- 作者: 池井戸潤
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る
池井戸氏の下町ロケットシリーズ第4弾。第3弾「ゴースト」の続きである。TVドラマのための書き下ろし。キンドルアンリミテッドで購入。
「ゴースト」は知財の部分はお粗末すぎて作品として成立してなかったが、「ヤタガラス」には知財はほとんど出てこず「ゴースト」で張った伏線たちをうまく回収していた。対立構造が予想外でまるで戦国時代の群雄割拠状態。今までBtoBだったが、今回BtoCも加わり、新しく広告戦略が描かれていた。
最初の直木賞を取った「下町ロケット」は佃の夢を叶えるという話だったのに、いつの間にか人類に貢献する物を作るという普遍のテーマに変わっている。テーマが大きくなってるわりには、池井戸作品の初期に見られた会社存続の絶望的な状況は逆に現れなくなった。人気が出てから軽くなってるなあ。
佃製作所が最後勝っても、会社が少しも大きくなってるように見えないのが気になる。拡大を抑えつけている構造的欠陥があるとするなら、これこそテーマに取り上げて欲しい。次は海外に新工場でも建てて欲しいね。