びーの独り言

どこいくの?どっか。

2016/04/29(金)祝「函館」

 今年のGWは身体的にもう最後かもしれないという緊張感があった。目的地はいつもの函館にした。北海道新幹線が開業したし、ちょうど桜が咲いてるし、函館クロスロードのオーナーさんに会いたいし、ラッキーピエロを食いつくしたいし、別にやることなくてだらだらするのもいいと思った。
 東京駅1220のはやぶさの予定だった。2時間前の10時に部屋を出た。東京駅ではこくろさんへのおみやげを買いたかった。最初から日本酒にすると決めていた。東京駅構内はすごい混雑だった。魅力的なおみやげがたくさんあったが、日本酒は見つからなかった。一旦改札外に出て大丸に行くと、地下の小さなコーナーで「勝山」という仙台の酒の試飲をしていた。おいしくてびっくりした。少々高かったが、いつもお世話になってるんだし奮発して買ってみた。旅人さんと談話室のちゃぶ台で語り合ってるシーンが目に浮かんだ。
 23番線ホームに入線してきたはやぶさはかものはしのような先頭車両と緑とピンクを基調にした外装が特徴的だった。車両的には今までのはやぶさと同じだった。このカラーリングは私の好みではないし、隼のイメージにもまったく合わないような気がしている。全車指定の車内は当たり前のように満席だった。自分の席に座ろうと思ったら、若い女性が座っていた。「あってますか?」と声をかけると、隣に座ろうとしていたものすごく太った男とともにどこかに去って行った。ものすごく怪しかった。席は三列シートの窓際だった。窓際を押さえた自分が少し誇らしかった。宇都宮以北の景色は見ておいた方がいいと思いつつ、今日も寝てしまった。単調すぎるんだよなあ。盛岡から空席ができ始めた。トイレに行ったらデッキに何人かいた。立ち席?新青森に到着するというアナウンスとともにスピードが落ちた。いつも新青森駅直前の急カーブなのかなと思ってしまうが、実際どうなんだろうか?
 新青森からは結構乗り込んできた。発車直後遠くに青森ベイブリッジが見えた。するとJR北海道のアナウンスが始まった。北海道に新幹線が通ったんだよなあ。若い男性の溌剌としながら抑揚を押さえた声に、新幹線が来た喜びと鉄道マンとしての使命感が混ざっているように思えた。線路は少し内陸の畑の中を走った。海沿いに家が集まってるのが見えた。通過した奥津軽いまべつの対向ホームを見てみると駅員が一人立っているだけだった。大丈夫か?ほとんど山かトンネルで、蟹田の海が見えなくなったことを悲しいと思っていたら、山間からちらっと2回見えた。すると青函トンネルのアナウンスが始まった。最後に「青函トンネルの旅をお楽しみください」と言われたが、トンネルの何を楽しむのか?でも、よく考えてみれば、対向の線路は三線になっていたし、竜飛海底駅吉岡海底駅には灯りがついていたし。そんな楽しみ方をしてるのは私くらいか。30分くらいたつとふいに景色が明るくなった。北海道に上陸した。最初に目に飛び込んで来たのはプレハブの工事小屋が集まってる景色だった。初めて目にする人もいるだろうにこれってディープすぎるだろ?「ようこそ北海道へ」とアナウンスが始まった。後ろの人がまたアナウンスかよと小さく笑ったような気がした。木古内からは少し乗ってくる人がいた。いさりび鉄道より函館に出るのが早いのだろうか?新幹線からはほとんど海は見えなかった。山とトンネルばかりだった。ここが六甲トンネルだと言われてもきっと信じただろう。またアナウンスが入り、右手に函館山が見えますということだった。外を見ると上磯のセメント工場の方がインパクトがあった。今まで得られていた函館に近づいてると高揚感はまったくなかった。それどころか線路は函館市街を避けるように離れて行った。悲しかった。
 新函館北斗駅に到着するとさすがに寒かった。改札に上がるエスカレーターはたくさんの人で混雑していた。普段はがらがらなんだろうなあ。せっかくなので改札の外に出た。改札の外にはケンシロウ銅像があることを知っていた。銅像は思ったより小さかった。残念な感じがした。まだあまり有名でないらしくそんなに人はいなかったが、みんな写真を撮っていた。きっとこれから有名になるだろう。意外にも改札外に出る人は多かった。みんな新しい駅を楽しんでるように見えた。真新しいみやげもの屋に入ると、ずーしーほっきーのグッズがたくさんあった。私はインパクトがあって素晴らしいと思っているけど、ブレイクするかと言われれば?外に出ると雨が降っていた。気温は6.5℃。寒くて冷たくて。駅の全景を撮ってさっさと中に戻った。駅舎には北斗市の立派な観光案内所があった。やる気が感じられたが、いかんせん函館以外に観光資源がない。あとは駅そのものをどこまで盛り上げられるかだな。
 ちょうどキハの単行が来るのが見えたので切符を買った。函館までは360円だった。ホームへダッシュしようと思ったら、構造がよくわからなかった。スーツを着た男性の集団がいて、どこまで行きますか、と言われた。手にはハンドマイクを持っていて、JR北海道の腕章が見えた。「函館までです」と言うと、なんと電車を止めて待ってくれた。心の中で、次は15分後なんだが、と思ったのは秘密だ。ホームへの階段を駆け降りると、ぶるぶると震えている緑色のラインの入ったキハを見つけた。やっと北海道に来た実感が湧いた。のんびりとした車内は私が知ってる北海道そのものだった。函館ライナーよりこっちの方がいいに違いないって。
 とりあえず函館に行った。いつものように写真を撮りまくった。すべてが愛しかった。函館駅前に降り立つとかなり寒かった。明日からの花見は大丈夫だろうかと心配するレベル。早速ラッキーピエロに行こうかと思ったが、それだったら七重浜に行けばよかったわけで。ラッキーピエロは明日の昼飯にして、夜は飲もうと思った。必然的にはこだてビールに向かっていた。今はそんなでもないけど、かつて函館の夜は必ずここだった。もういつ来れるかわからないからね。歩けるけど寒いので市電に乗った。わずか2駅先の魚市場通で下車。並ぶのを覚悟してたが、そんなでもなかった。寒かったからか?店の雰囲気もメニューも相変わらずだった。いつものお試し4種類といかめしを頼んだ。さすがにファーストインプレッションほどの衝撃はなかった。ビールの味がわからなくなってるのかもしれない。ただぼんやりとブログを打ったりしてた。何かを懐かしむというよりは、頭は空っぽだった。念願の函館に来たのにどこか意識が薄い感じがした。19時半ピアノとフルートの演奏が始まった。フルートは初めてだった。ここの演奏が私は大好きだ。今日もまた店の雰囲気とぴったりだった。最後は「We Are All Alone」。私にとっては本当に最後かもしれない。最後にはいい曲かもね。急いでデジカメを取り出し録画した。座ってる場所が悪くて、他のお客さんの頭が被った。人生ってのは完璧じゃないわな。でも、私は自分の意志で函館に来てる。そのことは誇っていいと思った。
 函館駅に着くと、ちょうどいさりび鉄道が出るところだった。ラッキー。2番乗り場に行くと、いつものキハが待っていた。あれっ、新型車両じゃないのか?相互乗り入れ?七重浜駅で降りた。寒くて写真を撮るどころではなかった。はこくろへの道を急いだ。
 はこくろに到着。玄関のベルを鳴らすとオーナーさんが開けてくれた。抱きつきたいくらいだったが(ウソw)、オーナーさんはいたって普通の感じだった。寒くて風呂に入りたかったが、先客を待つ間に談話室で談笑した。そのうちに風呂に入るのを止めて話し込んでいた。若い男性が帰ってきて、ショコラヴォヤージュという函館の人気店のお菓子を差し入れてくれた。クリームをチョコで包んだ繊細なお菓子だった。とりとめもなく面白い話は24時まで続いた。ただひたすらに楽しかった。やっぱり旅行っていいよなあ。