びーの独り言

どこいくの?どっか。

2014/08/29(金)年休「旅行7」

 起床は6時半だった。ようやく長崎から脱出できる。寄り道したいところも特になかった。
 長崎―早岐―有田―武雄温泉―鳥栖―小倉→新門司フェリーターミナル
 0856出発。長崎駅で買った駅弁「トルコライス」は予想通りなんの特徴もなく。止めとけばよかった。
 有田駅で降りて九州ナンバーワン駅弁「有田焼カレー」を買った。ここで降りると2時間待ちになるが、どうせ行きたいとこもなく。キオスクのおばさんにカレーを温めてもらうと、駅前の壱番館という店で食べることを勧められた。壱番館は陶磁器を売っていて、店のおばさんに奥に案内された。小さな部屋に机と椅子があった。何も買わないのに、氷の入った水をいただいた。数年ぶりとなるカレーは期待通りのうまさだった。もしかすると期待以上だったかもしれない。九州ナンバーワン駅弁どころか全国一だと思った。心はすっかり満たされていた。花より団子という言葉が脳裏に浮かんだ。おいしい物の力は偉大だなあ。
 壱番館のおばさんはとても親切で、なんと有田焼カレーの容器を洗ってくれた。1時間待ちだと話すと(次の特急で武雄温泉に行くと言った)、九州陶磁文化館に行くことを勧められた。全然知らないスポットだった。
 九州陶磁文化館は近くの山の上にあった。どしゃ降りの中、重い荷物を背負って上り坂を歩いた。途中で引き返したくなったが、乗りかかった船である。立派な建物が見えたが、なかなかたどり着けないような気がした。ここは佐賀県立の施設でやはり入場無料だった。佐賀県すごいな。期待してなかったのだが、とても立派な展示があり驚いた。
 まず近代の芸術作品が展示されていた。決して前衛的ではなく、ちゃんとした器や皿の形をしていた。色鮮やかであったり、全体のバランスが見事であったり。想像力に溢れていて、本当に素晴らしかった。一つ一つをずっと眺めていたいくらいだった。私は芸術はよくわからないのだが、素人目にもこんなに感動するとは思わなかった。
 陶磁器の歴史や作り方なども詳しく説明されていた。我々は日々当たり前に陶磁器を使っているが、その作り方はあまり知らない。そんな疑問に答える展示がなされていた。たいへん興味深かった。ここはいつか人気スポットになるのではないだろうか?
 2時間なんかじゃとても見きれなかった。また来ればいいと思った。壱番館に寄っておばさんに「すごいよかったですわ」と伝えた。こういう縁を大切にしたい。
 勢いで武雄温泉に行くことにした。駅ナカに観光案内所があり地図を入手した。雨の中15分くらい歩くと、広い駐車場にはたくさんの車が止まっていた。ここは武雄市の図書館。「蔦屋」がプロデュースしたことで有名になった。中は2階建ての巨大な吹き抜けスペースになっており、1階は本屋で本棚や本が並べられていた。2階は図書館で奥側全面が見たこともない巨大な木製の本棚になっていた。下から見ると圧倒的な迫力であり、まるですべての知をここに集めたような感じだった。天井はその奥側から手前に向かって斜め一直線に下がっていた。内装には木を多用し、自然光も取り込むことで、まるでコテージに来たような空間を演出していた。右の方はずっと細長くなっていて、「スターバックス」があった。おしゃれなテーブルが並んでおり、ここで売り物の本や借りた本を読むことができた。
 驚きのポイントはいくつもあった。まずは武雄市が民間の力を活用したところだ。これはこれからの新しいスタイルになるだろうと注目されている。武雄市は勇気ある決断だったと思う。先駆者となることで宣伝効果も大きかっただろう。次に建物の斬新さである。誰が設計したか知らないが、モダニズムを極めたような造りになっている。もし、普通の味気ない造りだったらここまで注目を浴びたかどうか?そして、図書館と本屋と喫茶店というぶっ飛びすぎる組み合わせ。利用者にとっては嬉しい限りだ。
 とりあえず「スターバックス」でお茶を飲んだ。周りのテーブルを老人の団体が占領した。およそ本とは無縁の人たちが話題のスポットに来てる感じ。それだけこの辺りに与えたインパクト抜群だったのだろう。店側に大切なことは足を運んでもらうこと。そういう意味では目論見通りなのかもしれない。本を売るのではなく話題(経験)を売る。それがやがて本の売上に繋がっていけばいい。後は長続きするかどうかだよな。一時的には注目は浴びるだろうが、やがて陳腐化していくはず。そのとき恒久的なスタイルとして定着するかどうか?多分その辺も見越してのことだと思いたいのだが?実際この試みは、代官山、函館と続いている。こういう新しいチャレンジは素晴らしいね。
 せっかくなので武雄温泉に行った。行ってみると中国にあるような巨大な門があった。その奥には瓦屋根の平屋の建物があり、紺色の暖簾にはわかりやすく白抜きで「武雄温泉」と書かれていた。きっと「道後温泉本館」みたいな中心の温泉に違いない。入り口にはわけのわからない大声を出すじいさんたちがいた。よく聞くとハングルだった。入場料400円を払って中に入ると、わけのわからない大声を出してるじいさんばかりだった。それだけじゃなく洗い場の床には3人が仰向けに寝転がってた。風情も何もあったもんじゃなかった。対馬ではマナーが悪くて困っていると聞いたことがあったが、本当にマナー悪いんだな。なんでここに来てるんだ?市で誘致してるのか?受け入れるなら風呂の入り方くらい教えろよ。気分悪いことこの上なかった。
 1840小倉駅北口からバスに乗って新門司のフェリー乗り場へ向かった。行きと同じように阪九フェリーに乗った。さすがに帰りは個室ではなかった。個室は初回サービスだったんだろう。寝場所は大部屋で、硬い床には下に敷くマット、身体にかける薄い綿入りのマット、時代劇で出てきそうな硬くて長方形の枕が、8組並んでいた。個室とは雲泥の差だった。ケータイを充電できないのも痛すぎた。寝る前からこりゃいかんと思った。こういうときに金を使わないとダメだよなあorz。端っこの場所を確保してすぐにレストランに向かった。人気の高い窓側をゲット。ケータイを弄ろうにも充電が切れてきた。ケータイが使えないと不便だ。20時出発。暗闇の中の窓の外の灯りが徐々に遠ざかった。私は一体どこに行くんだろう?自分ですらわからない自分の運命に重ね合わせた。
 大部屋には私以外に3人が入った。ケータイを行きしなに買った電池式充電器に繋いでリュックの中に放り込んだ。私は床に座って小倉駅で買った「週刊ベースボール」を読んでいた。隣の大部屋に家族が占領しているのかやたらうるさかった。「声が大きい、隣に迷惑でしょ」と子供に注意する声が聞こえたが、その声が大きくて耳障りだった。